第24回
J.-F.フルカド書店
2014/3/8 UP

▶Back number
第1回 マザリーヌ書店
第2回 クーラン ダール
第3回 ミカエル・セクシク書店
第4回 オ・ザール・マジャール
第5回 書店-ギャラリー
    エマニュエル・ユタン

第6回 デ・アーシヴ書店
第7回 ドュ・カメー書店
第8回 ラ・ポルト・エトロワト
第9回 ル・ヴァンティエーム・
    エ・セ・スールス書店

第10回 アバンスラージュ書店
第11回 F.ドゥ・ノーベル書店
第12回 ドュ・パッサージュ書店
第13回 アール&リブリ書店
第14回 シュマン・デ・アール
第15回 ジュソーム書店
第16回 A バルザック A ロダン
第17回 OFR書店&ギャラリー
第18回 モールタメール書店
第19回 クロエ&
     ドニ・オザンヌ書店

第20回 ジャン-エティアンヌ
     ・ユレ書店

第21回 フィシュバシェル書店
第22回 ラルダンシェ書店
第23回 Le Plac'art Photo



パリ市庁舎からバスチーユ広場に至るマレー地区は地下鉄サン・ポール駅を境にして、レピュブリック広場に広がる北側とセーヌ河に向かう南側は表情に大きな違いがある。北側はパリの最新モードの発祥地の一つとして賑わいを増しているが、南側は人通りが少なく閑散としているものの、パリの歴史散歩をゆっくり堪能できる界隈となっている。 19世紀の詩人シャルル・ボードレール(1821~1867)が在住したボウトライユ通りにあるJ.-F.フルカド書店も歴史に溶け込んだようにしっとり落ち着いた構えだが、予約以外は通常午後4時から同7時までの3時間のみの営業となっている。

劇場ポスター

扱う対象は文学と美術の二本立てになっている。文学は19世紀後半のボードレールとアルチュール・ランボー(1854~1891)から不条理のアルベール・カミュ(1913~1960)とサミュエル・ベケット(1906~1989)やウジェーヌ・イオネスコ(1909~1994)が活躍した頃までとなっている。美術は19世紀末の象徴主義 (シンボリズム)から1980年頃までだが、対象は幅広く、アーティスト・ブック専用の本棚もあり、版画、写真類、1928年のシャンゼリゼ・コメディー劇場でのアルフレッド・ジャリー劇団の公演ポスターなども扱っている。

アーティスト・ブック・コーナー

2003年11月に発行されたばかりの美術カタログと文学カタログを見ると、美術カタログ(543点)では20世紀初頭に誕生した「フォーヴィズム」のアンリ・マチス(1869~1954))、「フュチュリズム」、「表現主義」のポール・クレー(1879~1940)、「キュビズム」のパブロ・ピカソ(1881~1973)、ジォルジュ・ブラック(1882~1963)、フェルナン・レジェ(1881~1955))、それ以降に登場した「ダダイズム」、「シュルレアリスム」のアンドレ・ブルトン(1896~1966)、マックス・エルンスト(1891~1976)、ルネ・マグリット(1898~1967)、ジョアン・ミロ(1893~1983)、「アンフォルメル」の詩人・画家 アンリ・ミショー(1899~1984)、ジャン・ドュビュフェ(1901~1985)、「コブラ」のアスガー・ヨルン(1914~1973)などの点数が多い。

ショーウィンドー

 文学カタログ(556点)でも「象徴主義」のステファヌ・マラルメ(1842~1898)、 「キュビズム」の先導者ギヨーム・アポリネール(1880~1918)、「シュルレアリスム文学」のルイ・アラゴン(1897~1982)など美術運動に連動する作家が目立つ。

店主

「私は学生時代から古書が好きで、ことに絶版書のコレクションに熱中していました。次第に自分の蔵書を自宅で販売するようになり、1986年にサン・ポール教会脇のサン・ポール通りに小さな店を構えました。書籍置き場が限られていたので文学専門にしましたが、1995年に現在地に移ってスペースが広くなったので、美術書も扱うようにしました」と語るように、J.-F.フルカド店主は27年間、マレー地区南側への愛着を続けてきた。

店内全体

店の特徴として「一貫して稀少本かオリジナル性が高いものを追う」、「先を読む眼」の2点を挙げた。注目度を先取りした具体例として、美術ではパリやアメリカのシュルレアリスムとは一線を画してデンマーク、ベルギーのブリュッセル、オランダのアムステルダムを中心に生まれた前衛美術運動コブラ(Cobra。1948~1951年)の創立者の一人であるオランダ人コルネイユ、文学では15年前はあまり知られていなかった作家ジョルジュ・バタイユ(1897~1962年)を挙げる。

美術書コーナー

 本人も予想だにしなかっただろうが、自分の好きなことを地道に続けてきたことが、 インターネット時代に入って実を結んでいく。インターネットでの販売は、まず国際古書店ネットワークであるアベブックッス(Abe Books)に加盟して始めたが、ネットを通じて専門性と選択眼が注目されるようになり、国内外から店を訪れる人が増えていった。現在、国外の顧客が30%を越え、ニューヨークなどの国際見本市に出店するまでになり、自前のホームページも充実している。

写真類

 顧客は美術館・図書館などの文化機関、 コレクターと古書店仲間が主体で、仕入れは国内の古本市や国際古書見本市、 ドゥルオーなどのオークションに加えて、古書店仲間からの購入も多い。個人からの購入は一般個人からではなく、セミプロの人たちに限られている。

ストック数を尋ねると「今はストックを減らして、回転を早くする時代に入っています。以前は倉庫を持っていましたが、ストック数を4,000点に絞り、ほとんどを店内で保管しています」と答える。

ドュビュッフェの展示会パンフレット

その理由として、10年前に比較すると、顧客が好む画家・作家の移り変わりが早まったこと、解説書的なものより展示会カタログなど実物の文献が求められるように変化したことを指摘する。好例として取り出してくれたのが、第2次世界大戦後の前衛絵画運動「アンフォルマル」の先駆者ドュビュフェが本格的な活動を始めた1946年の前年にあたる1945年4月にパリ6区のアンドレ画廊(Galerlie André)で開催した展示会の、A5サイズを2つ折りにしたささやかなパンフレット(販売価格は500ユーロ)である。

店内全体

「これからの美術古書店は、より専門的に特化しながら顧客の要望の変化に対応していくこと。また保存状態が良いことも肝心です」とフルカド店主は結論づけた。


店名

Librairie J.-F.Fourcade

Librairie J.-F.Fourcade

住所

3 rue Beautreilles 75004 Paris

電話

01 48 04 82 15

HP

www.librairie-fourcade.com

店主

J.-F.Fourcade

設立年

1986年

従業員

2人


 

 広畠輝治   ブログ : 「広畠輝治の邪馬台国吉備・狗奴国大和説」

1948年1月
1980年
1988年


2002年4月

2009年1月

横浜に生まれる
から在仏ジャーナリスト
にプレス・ヒロハタ社設立
主に日経新聞社グループと電通向けに記事・レポート配信とコーディネート。 やきものネット・パリ通信員。
「邪馬台国 岡山・吉備説から見る古代日本の成立」(制作‐コエランス酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。
「邪馬台国吉備説 神話編」(制作‐酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。

邪馬台国 岡山・吉備説から見る
古代日本の成立
広畠輝治著  2800円
邪馬台国 吉備説 ー神話篇ー
日本古代史をヨリ深くヨリ広く学ぶために
広畠輝治著  4700円
  
 

->戻る

(C) SHINARTBOOKS All rights reserved