第14回
シュマン・デ・アール書店
2013/8/27 UP

▶Back number
第1回 マザリーヌ書店
第2回 クーラン ダール
第3回 ミカエル・セクシク書店
第4回 オ・ザール・マジャール
第5回 書店-ギャラリー
    エマニュエル・ユタン

第6回 デ・アーシヴ書店
第7回 ドュ・カメー書店
第8回 ラ・ポルト・エトロワト
第9回 ル・ヴァンティエーム・
    エ・セ・スールス書店

第10回 アバンスラージュ書店
第11回 F.ドゥ・ノーベル書店
第12回 ドュ・パッサージュ書店
第13回 アール&リブリ書店



シュマン・デ・アール(アートの道)書店はサクレクール寺院がそびえるモンマルトルの丘の裏手、パリ18区の区役所前からエルメル通りに入った位置にある。観光客はあまり訪れない地域だが、19世紀以来、多くのアーティストが在住する。

マルク・プランカッサーニュ 店主
(Marc PLEINECASSAGN)

 マルク・プランカッサーニュ(Marc PLEINECASSAGNE)店主は46歳と店主としてはまだ若い世代に属するが、店を開いてからすでに20年が経過している。パリ12区にある建築インテリア・デザイン専門学校エコール・ブール(Ecole Boulle)を卒業した後、建築家と仕事をしたが、そりが合わず、面白くない日々が続いた。元々美術書をよく購入していたことから、25歳で17区のバティニョールで美術専門の古書店を始め、10年前に現在地に移ってきた。

扱い種目は1950年代から現代に至る絵画、造形アート、デザインなどだが、新刊書は扱わず、絶版本を主体としている。シュールレアリズム、ミニマリズム、具体(GUTAI)などのアート・ムーブメントに詳しく、例えばシュールレアリズムではサルバドール・ダリ、イヴ・タンギーから顧客が知らない同じタイプのアーティストを紹介していく。「自分が販売するアーティストをよく知っていることが強みになっている」と自負する。

「Combas」と「Martial Raysse」

 一押し本を見せてもらうと、「コンバス(Robert Combas)」、「マルシャル・ライス (Martial Raysse)」、「エンリコ・カステラミ・ピトロ (Enricco Castellani Pittoro)」、「マルチン・ブダン (Martine Bedin)とジャネット・モントゴメリー・バロン (Jeanette Montgomerry Barron(」、「ダヴィド・ドュボワとクリスチャン・リゾが見たクリチャン・ラクロワ(Christian Lacroix vu par David Dubois & Christian Rizzo)」、「美術館でのジャスパー・モリソン(Jasper Morrison au Musee)」などを書棚から出してくれた。  いずれも現代アートの第一線で活躍している1930年代から50年代生まれのアーティストである。

「Enricco Castellani Pittoro」

ピトロは1930年生まれのイタリアの前衛アーティスト、ライスは1936年生まれのフランスの造形作家である。

コンバスは1957年生まれのフランスの造形作家・画家で1980年代に欧米で同時多発的に生まれた具象絵画運動フィギュラシオン・リーブルの代表の一人である。ブダンは1957年生まれのフランスのデザイナーで、1981年にミラノで誕生した前衛グループ「メンフィス(Memphis)」のメンバーの一人。バロンは1956年生まれのアメリカの写真家で、アンディ・ウォーホルなどアーティストの肖像写真で知られる。

「Martine Bedin &
Jeanette Montgomerry Barron」
「Christian Lacroix vu par
David Dubois & Christian Rizzo)」
「Jasper Morrison au Musée)」

ラクロワは説明するまでもなくフランスのモード・デザイナーで1951年の生まれ、モリソンは1959年生まれのイギリスのデザイナーである。

絵画よりもデザインや造形アートに力点が置かれている印象を受けたが、「フランスの美術界はかっては印象派やエコールー・ド・パリなど絵画の都だったが、現代はフィリップ・スタルクに代表されるようにデザイン・造形が隆盛となっているから、自然とそうなる」と説明する。

話をしているうちに、2002年に創立され、絵画や近代・現代装飾アートの書籍出版やグラフィック作品の製作をしている出版社エディション・ベルナール・ショヴォー(Editions Bernard Chauveaux)のアート担当部長も兼任していることを知り、「自分が販売するアーティストをよく知っていることが強み」の意味が理解できた。

店内書棚

仕入れは個人蔵書などに加えてギャラリーから展示会カタログ、出版社から売れ残った書籍を購入しているが、出版社の仕事を通じてアーティストの動向や評判を直接見聞しているから、どれを仕入れたらよいかがよく分かっている。アーテイストからスタンプやデッサン等を委託ではなく、直接購入もしている。店舗はパリの中心部からはずれているが、古書の供給元である蚤の市で知られるサントゥーアンとオークション会場ドゥルオーの中間に位置していて仕入れに便利なこと、店舗の賃貸料が安い分、中心部の古書店より安く販売できることを利点にあげる。展示会カタログなどの在庫を切らした同業者が注文をしてくる問屋的な役割もしている。

アーティストの作品販売

ストックは店内地下と近くにある倉庫で保存している。顧客はギャラリー・アンティーク店、デッサンやリトグラフのコレクターだが、販売価格の安さに加えて、店主の現代アートの知識を求めて美術を学ぶ学生がよく訪れてきて、第2の学校の役割を果たしている。若手アーティストの出入りも多いことから、学生とアーティストの間で展示会についての議論で花が咲き、書店が学生とアーティストとの開かれた交流の場としても活用されている。無名時代のヴァン・ゴッホなどが出入りしたモンマルトルの画材店を現代に置き換えると、こんな雰囲気だったのだろう。

 インターネット古書販売ネットワーク「レア・ブックス(Rare Books)」に加盟しているが、その一方で、造形アートデザインでパリで評価が高まっている瀬川剛(Go SEGAWA。1970年生まれ)氏など若手アーティストの作品や複製プリント版の作品も販売する方向も強めている。

店名

Librairie Chemin des Arts

Librairie Chemin des Arts

住所

46 rue Hermeel 75018 Paris

電話

01 42 58 67 60

E-mail

m.pleinecassagne@wanadoo.fr

店主

Marc PLEINECASSAGNE

設立年

1993年

従業員

1人


 

 広畠輝治   ブログ : 「広畠輝治の邪馬台国吉備・狗奴国大和説」

1948年1月
1980年
1988年


2002年4月

2009年1月

横浜に生まれる
から在仏ジャーナリスト
にプレス・ヒロハタ社設立
主に日経新聞社グループと電通向けに記事・レポート配信とコーディネート。 やきものネット・パリ通信員。
「邪馬台国 岡山・吉備説から見る古代日本の成立」(制作‐コエランス酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。
「邪馬台国吉備説 神話編」(制作‐酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。

邪馬台国 岡山・吉備説から見る
古代日本の成立
広畠輝治著  2800円
邪馬台国 吉備説 ー神話篇ー
日本古代史をヨリ深くヨリ広く学ぶために
広畠輝治著  4700円
  
 

->戻る

(C) SHINARTBOOKS All rights reserved