第19回
クロエ&ドニ・オザンヌ書店
2013/11/5 UP

▶Back number
第1回 マザリーヌ書店
第2回 クーラン ダール
第3回 ミカエル・セクシク書店
第4回 オ・ザール・マジャール
第5回 書店-ギャラリー
    エマニュエル・ユタン

第6回 デ・アーシヴ書店
第7回 ドュ・カメー書店
第8回 ラ・ポルト・エトロワト
第9回 ル・ヴァンティエーム・
    エ・セ・スールス書店

第10回 アバンスラージュ書店
第11回 F.ドゥ・ノーベル書店
第12回 ドュ・パッサージュ書店
第13回 アール&リブリ書店
第14回 シュマン・デ・アール
第15回 ジュソーム書店
第16回 A バルザック A ロダン
第17回 OFR書店&ギャラリー
第18回 モールタメール書店



パリ右岸のオークション会場ドゥルオー界隈はアンティーク店、古切手店、古書店などが軒を並べるアート・ギャラリー街となっているが、クロエ&ドニ・オザンヌ書店はその中心部、ドゥルオーから徒歩数分に位置している。

店内を一瞥すると、ビートルズの写真や版画、60年代から70年代のポップアート風のイラストやポスター類が飾られている。書籍棚は店内の奥だけにあるので、イラスト、ポスターや写真を主体にした美術ギャラリーの印象を与えるが、1972年以来、40年あまりの歴史を持つ老舗である。

店内中央

対象は1920~2000年にかけての写真、アートグラフィック、建築、アーティストブック、日本、前衛、アート定期刊行誌、玩具・ゲームの8つの分野で、これにドキュメントと音楽も加えられている。

店内左

特色は販売カタログ発行の多さにある。総合カタログに加えて、建築、写真、アーティストブック、都市別などテーマ別カタログも定期的に刊行し、「工芸美術」、「日本の前衛」など特別カタログも発行している。

店内右

もう1つの特色は日本関連の書籍が充実している点にある。パリの古書店で見かける日本関連の書籍は浮世絵、根付、漆や武具など伝統的な分野が主流で、最近ではマンガやアニメを売りにする古書店も増えているが、日本人が気づかぬ視点を交えて近代・現代の建築家と写真家を主体にした書籍を収集しており、近代・現代日本文化の硬質な側面をフランスとヨーロッパに知らしめる窓口の役割を果たしている。

国立国際会館応募作品集

その一例として取り出してくれた「国立国際会館応募作品集」と「沖縄海洋博写真集」の2冊は私も含めて多くの日本人が見逃している視点と感じた。ホームページの「日本」項目やカタログ類を見ていくと、建築関連では板垣鷹穂の「機械と芸術との交流」(1929年。岩波書店)、1937年パリ博覧会の日本館を担当した坂倉順三の「日本芸術との接触」(序文はシャルロット・ペリアンCharlotte Perrian。1941年、小山書店)、

沖縄海洋博写真集

磯崎新の「GAギャラリー展示会カタログ」、写真集では石元泰博の「伊勢神宮」、浅井慎平の「海洋の島々」、荒木経惟の「ポラエヴァシー」、「ニューヨーク・カタログ」で紹介されている北島敬三の「ニューヨーク・反解釈の写真」、篠山紀信の「シノヤマ・ニューヨーク」など枚挙にいとまがない。

右)ドニ・オザンヌ(Denis OZANNE )氏
左)クロエ・オザンヌ(Chloe OZANNE)氏

店主のドニ・オザンヌ氏は本好きが高じて、1972年にパリ15区でマンガ(BD)、SF小説、文学書を主体にした古書店を開いた。10年後に店舗を6区のオデオン界隈に移し、扱いテーマを写真、建築、アーティストブック、20世紀前衛アートへと専門化させ、テーマ別専門カタログの定期的な発行を始めた。それと並行して1979から1999年にかけて、5区に子供向け書籍や玩具の店も運営し、1997年に拠点を左岸から右岸のドゥルオーに近い現在地に移して2店を集約した。子供向け書籍・玩具もテーマの1つになっているのはこうした理由による。7年前から娘のクロエ氏が加わり、現在は親子共同経営の形をとっている。

「扱う商品はすでに選択していますので、特に一押しのものはありません。すべてが一押しです」と自信を示すが、その眼識を信頼して、世界中の図書館などの文化関連機関、建築家、写真家が固定客となっている。グランパレで開催される国際古書見本市やパリ・フォート見本市、サンシュルピス広場の蔵書・古文書見本市にも出店している。

カタログ6冊
(上)右から コペンハーゲン、
総合カタログ、
Architecture Radical、
ニューヨーク
(下)右から Structure et Forme 2、
総合カタログ(2005年版)

仕入れはドゥルオーなどのオークションに加えて、書店仲間や個人コレクターからの購入だが、「しばしばアメリカや日本に買出しに行きます。もちろん古書店街の神田は熟知しています」と親日家ぶりを見せる。在庫はまずテーマ別に、次いでアルファベット順に整理して店の地下書庫、自宅や各所に約1万点を保管している。 「フランスは日本などに較べて、仕入れや売上伝票などの書類作業が煩雑なのがしんどい点ですが、本を扱うのが楽しみで40年が過ぎました」。

パリの古書業界は文献重視から、読むだけでなく書斎や居間に飾って見て楽しむオブジェの時代へと変化していく渦中にあるが、時代の流れに合わせて品揃えを調整してきたオザンヌ氏の店は、これからのパリの美術古書店が進んでいく方向の1つを先取りしている印象を受けた。

店名

Librairie Chloe et Denis OZANNE

Librairie Chloe et Denis OZANNE

住所

18 rue de Provence 75009 Paris

電話

01 48 01 02 37

HP

www.ozanne-rarebooks.com

店主

Denis OZANNE & Chloe OZANNE

設立年

1972年

従業員

2人(共同経営者)


 

 広畠輝治   ブログ : 「広畠輝治の邪馬台国吉備・狗奴国大和説」

1948年1月
1980年
1988年


2002年4月

2009年1月

横浜に生まれる
から在仏ジャーナリスト
にプレス・ヒロハタ社設立
主に日経新聞社グループと電通向けに記事・レポート配信とコーディネート。 やきものネット・パリ通信員。
「邪馬台国 岡山・吉備説から見る古代日本の成立」(制作‐コエランス酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。
「邪馬台国吉備説 神話編」(制作‐酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。

邪馬台国 岡山・吉備説から見る
古代日本の成立
広畠輝治著  2800円
邪馬台国 吉備説 ー神話篇ー
日本古代史をヨリ深くヨリ広く学ぶために
広畠輝治著  4700円
  
 

->戻る

(C) SHINARTBOOKS All rights reserved