第13回
アール&リブリ書店
2013/8/13 UP

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第1回 マザリーヌ書店
第2回 クーラン ダール
第3回 ミカエル・セクシク書店
第4回 オ・ザール・マジャール
第5回 書店-ギャラリー
    エマニュエル・ユタン

第6回 デ・アーシヴ書店
第7回 ドュ・カメー書店
第8回 ラ・ポルト・エトロワト
第9回 ル・ヴァンティエーム・
    エ・セ・スールス書店

第10回 アバンスラージュ書店
第11回 F.ドゥ・ノーベル書店
第12回 ドュ・パッサージュ書店



アール&リブリ書店はパリ6区の美術街セーヌ通りとボナパルト通りを結ぶヤコブ通りからドラクロワ国立美術館へ入る位置にある、間口が狭い小さな店である。

ショーウインドーに展示されている書籍を見てみると、かなり専門性が高い古書店の印象を与える。パリの美術古書店のショーウインドーに展示されている書籍には印象派絵画、アールヌーボー、ピカソ、マチスなど19世紀後半から現代に至る書籍が混ざっているのが定番だが、前面に打ち出しているのは19世紀以前の書籍となっている。

ショーウインドー

「フェリシ・ドゥ・フォーヴォ(Félicie de Fauveau。フランスの彫刻家。1801~1886年)」、「パリ1650~1900 (アムステルダム国立美術館の装飾アート」から始まり、バロック・ルネッサンス時代では「バルトロメオ・マンフレディ(Bartolomeo Manfredi。イタリアの画家。1582~1622年)」、「ヒエロニムス・コック(Hieronymus Cock。ルネッサンス時代のフランドル地方の画家・彫刻家。1518~1570年)」がある。

店内書棚

古代ギリシャ・ローマでは「(古代ギリシャの)神話と神秘」、「(ローマ帝国時代の)輝石彫刻」、さらに「科学、道具と魔術(イスラム・アート・コレクション)」、「真珠の海(バーレーンを中心にしたペルシャ湾)」、「ラ・セダからラ・ルズへ(A La Luz de La Seda)」などイスラム美術に関する書籍もある。

展示書物を整理してみると、古代ギリシャ・ローマ―地中海東部(トルコのイスタンブールやエジプトのアレキサンドリア)―イタリア(ベニスやフィレンツェ)―西欧諸国と、西洋美術史に精通した人なら古代から近世に至る西洋美術の流れに沿っていることが理解できる。

ヤスミン・エルフェル
(Yasmine HELFER )店長

店名の下に「フィレンツェ―ローマ―パリ」と明示されているので、イタリアにある美術古書店のパリ支店なのだろう。入り口は鍵がかかっていて自由には入れない。ドアをノックすると店の奥から妙齢な女性ヤスミン・エルフェル(Yasmine HELFER)氏が出てきて、店内に入れてくれた。若さから判断しても、パリ支店の雇われ店長なのだろうと勝手に思い込んだ。

「第2帝政末起源のフランス書」
と蔵書スタンプ

ところが店は支店ではなく、 エルフェル氏が独立経営する店だった。「開店は1年前です。イタリアのナポリ大学に留学して美術史をテーマに博士号を取得しました。その後、フィレンチェで2~30年続いている美術専門古書店Art & Libriに3年ほど勤務しました。学生時代から美術書探しで書店めぐりをしていましたから、その情熱が高じてパリで自分の店を開くことにしました。開店にあたってArt & Libriの店名使用の許可をもらいましたが、経営は別個です」。

「第2帝政末起源のフランス書」
と蔵書スタンプ

「買出しから販売、経理まで一人でやるのはしんどいですが、自分が好きなことを自由にできることが楽しみです。美術書探しの長い経験がありますから、客の要望に答えられる自信を持っています」と屈託なく話してくれた。 「書籍自体に歴史があることも本探しの魅力の一つです」と取り出したのが「第2帝政末起源のフランス書」だった。表紙を開けた見開きページに「Ex Libris Aubry Vitel」の蔵書スタンプが押されていて、誰が所有していたかが分かる。

一押し本
「プラド美術館の古典
(古代ギリシャ・ローマ)
彫刻カタログ」

ショーウインドーの展示で受けた印象どおり、扱い書籍はギリシャ・ローマの古典時代から19世紀のナポレオン3世の第2帝政(1852~70年)時代に至る絵画、デッサン、彫刻、アールデコ(装飾美術)であるが、フランスだけでなく出版元はイタリア、ドイツ、イギリスと国際的である。  一押し書籍を見せてもらうと、「ジャン・ドュナン(Jean Dunand。アールデコのアーティスト。1877~1942年)」、「(コニャックジェイ美術館の)18世紀の豪華小物入れ」、「輝石の浮き彫り像」の3冊を取り出してくれた。次に「ルネッサンス時代のパリの金銀細工」、「プラド美術館の古典(古代ギリシャ・ローマ)彫刻カタログ」と続いた。

一押し本
「(コニャックジェイ美術館の)
18世紀の豪華小物入れ」

仕入先は①個人蔵書、②ドゥルオーなどのオークション、③パリや地方都市での小規模古書見本市だが、これに加えて2か月に一度の割合でイタリアに買い付けに行く。ストックは店内、店の近くの倉庫、自宅近くの倉庫の3か所で約5,000点となっている。

一押し本
「ジャン・ドュナン(Jean Dunand。
アールデコのアーティスト。
1877~1942年)」、
「(コニャックジェイ美術館の)
18世紀の豪華小物入れ」、
「輝石の浮き彫り像」

 顧客はコレクター、ギャラリー・アンティーク店の経営者か関係者が主体だが、大学教授は図書館を使用するので顧客にはならないと苦笑する。ギリシャ・ローマの古典彫刻は考古学者の購入が目立つが、意外にも中世・ルネッサンス関連は注文が少ない。

 専門性が高いことから、アベブックス(AbeBooks)など国際的な古書店ネットワークに加盟すれば、国外からの注文が増えるという気がしたが、「オープンしてまだ1年で、顧客の要求次第で方向が決まっていきます。まずは 口コミ等で評判を高めていきます」とじっくりと構えている。

店名

Art & Libri Paris

Art & Libri Paris

住所

6 rue Jacob 75006 Paris

電話

06 09 05 08 47

E-mail

artlibriparis@gmail.com

店主

Yasmine HELFER

設立年

2012年

従業員

1人


 

 広畠輝治   ブログ : 「広畠輝治の邪馬台国吉備・狗奴国大和説」

1948年1月
1980年
1988年


2002年4月

2009年1月

横浜に生まれる
から在仏ジャーナリスト
にプレス・ヒロハタ社設立
主に日経新聞社グループと電通向けに記事・レポート配信とコーディネート。 やきものネット・パリ通信員。
「邪馬台国 岡山・吉備説から見る古代日本の成立」(制作‐コエランス酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。
「邪馬台国吉備説 神話編」(制作‐酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。

邪馬台国 岡山・吉備説から見る
古代日本の成立
広畠輝治著  2800円
邪馬台国 吉備説 ー神話篇ー
日本古代史をヨリ深くヨリ広く学ぶために
広畠輝治著  4700円
  
 

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