第7回
ドュ・カメー書店
2013/5/21 UP

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第1回 マザリーヌ書店
第2回 クーラン ダール
第3回 ミカエル・セクシク書店
第4回 オ・ザール・マジャール
第5回 書店-ギャラリー
    エマニュエル・ユタン

第6回 デ・アーシヴ書店



ドュ・カメー書店は造形美術・工芸を専門にするパリで唯一の古書店である。パリ6区の美術ギャラリー街とサン・ミシェル泉(フォンテーヌ)を結ぶサン・タンドレ・デザール通りにあるが、間口が2メートルにも満たない小さな店である。

「開店は1986年で、造形美術の中でも陶芸と家具、建築類の書籍が主体です。顧客はプロの人たちで、学生や若者はあまりいません。フランス国内の人がほとんどで、国外からは少ないです」。
「インターネットでホームページも運営していますが、カタログ販売も大事です」。
「蔵書は約3,000点で、書籍の仕入れは個人からが多くなっています」。
「店主としての楽しさは独立していることです」。

店主

1986年以来、店を切り盛りしてきたフランソワ・コギャン店主は愛想は良いが、顧客との応対に忙しいのか、要点だけ語ると、後はあまり構ってくれない。
「なぜ造形美術・工芸専門の古書店にされたのか」と尋ねると、「自分がよく知っている分野だから」とそっけない。

店内

人が3人入ると満杯となる店内には、中年を過ぎた男性たちが入れ替わり立ち代わりに入ってくるといった感じで、途切れることがない。いずれも顔見知りの様子で、外から店内を覗いて、先客がいると付近をぶらついて、10数分後に戻ってくる人もいる。

写真は自由に撮ってもよい、ということなので、写真を撮りながら、陳列品をゆっくりと見ていく。

一押し本(右棚)
左から 「木工の線アート」
「アイリーン・グレイ」
「革のアートと技術」
「サヴォワ地方の郷土陶器」
「釉薬をかけた粘土」

入り口右の書棚の一番眼につく位置には「木工の線アート」、「アイリーン・グレイ」、「革のアートと技術」、「サヴォワ地方の郷土陶器」、「釉薬をかけた粘土」が展示されている。アイリーン・グレイ (Eileen Gray 。1878~1976年) はアイルランドで生まれ、フランスで活躍した家具・建築デザインナーで漆作品も手がけた。他には「自分で再生する椅子(の造り方)」、「ケラース地方(アルプスのグルノーブル南東)とヴォエサン渓谷の古家具とオブジェ」、「12世紀から19世紀の縁(ふち)と縁をぴったり合わせた板の扉(Ventaux de Porte à Planches Jointes)」などが目立った。

「伝統扉と近代扉」
「叩きつけ装丁」
「漆の秘密」

右側のショーウインドーでは「伝統扉と近代扉」の下に、「叩きつけ技法の装丁」、「漆の秘密」、「 ニシム・ドゥ・カモンド美術館(パリにある18世紀造形美術館)」、「パリの階段」、「アンドレ・グルー(Andre Groult。1884~1966年。家具・装飾デザイナー)」、「装飾図柄」(1. 建築・彫刻・石彫刻向け、2. 建築要素向け)、「木の見分け方」、「大理石の使い方」、「木製彫刻」が積まれている。

高価な稀少本は見えず、一般客でも手が出せる価格帯だが、眺めていくうちに、1. 造形作品を制作するプロ向けの実用書・ハウツー物、2. 消滅しつつある伝統技術や地方の民芸技術、の2点に対象を絞り込んでいることに気付いた。

美術品や建築物の愛好者・コレクター向けの書籍というよりも、実際に制作するクリエーターやデザイナー向けの実用書や参考書籍に特化した古書店のようである。
インターネットのホームページで項目別に紹介されている書籍もこの特徴に沿っていた。

店内 左棚

陶芸ではオート・ノルマンディー、アルザス、ラ・ロシェルなど各地方の伝統陶器、家具・インテリアでは「18世紀の家具・椅子」、「アール・デコの中国嗜好」、「アルプス地方の伝統家具」、建築では「伝統木工・指物技法」、「木工の実践書」、「パリの階段」、金属・メタルでは「古い錠」、「鉄のアール・デコ」、ジュエリー・時計では「レ・フーケ(宝飾店。1860~1960年)」、「オヴェールニュ地方のジュエリー」、「19世紀のオート・ノルマンディーのジュエリーと金銀細工」、「ジェノヴァ時計辞典」などが代表例である。

フランス国内の造形・工芸美術の作り手に知れ渡った古書店で、地方に住むアーティストや工芸家がパリに来たついでに立ち寄っていく店であるようだ。店主に相談すれば欲しい書物かヒントが得られるだろう、と店主の人柄と知識を慕って寄ってくる。インターネットが登場しても、専門化し対象が絞られているから、従来通りのカタログ販売で十分に固定客の要望を充たしているわけである。

店名

Librairie du Camée

camee

住所

70 rue Saint André des Arts 75006 Paris

電話

01 43 26 21 70

HP

www.librairieducamee.com

店主

Françoise COGAN

設立年

1986年

従業員

1人


 

 広畠輝治   ブログ : 「広畠輝治の邪馬台国吉備・狗奴国大和説」

1948年1月
1980年
1988年


2002年4月

2009年1月

横浜に生まれる
から在仏ジャーナリスト
にプレス・ヒロハタ社設立
主に日経新聞社グループと電通向けに記事・レポート配信とコーディネート。 やきものネット・パリ通信員。
「邪馬台国 岡山・吉備説から見る古代日本の成立」(制作‐コエランス酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。
「邪馬台国吉備説 神話編」(制作‐酉福ギャラリー、発行‐神無書房)を出版。

 

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