Painting/Calligraphy/Engraving 絵画/書/版画

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書籍: 繪の科學
著者: 山下新太郎
発行: 錦城出版社 発行日:1942年 初版 18.7 x 13.5 x 1.7cm
状態:B 可 ページにも経年変化のシミやヤケ、傷みあり
価格: ¥1,000 (税込)


著者が綴る序文は、戦時中という時代背景と当時の日本人の矜持が感じられる。

「私が本書を著さんとした動機は、私が畫の道に入りてより四十年間に得た経験と、貧しいながら私の識見とを述ぶることがその念願であった。
私の唯一の念願はわが國に置いて真実に立派な油絵が生まれることである。
千三百年来わが國における油絵具使用の伝統があるにも拘らず、欧州製品にのみ依倚して居ることは、何たる恥辱ぞや。
現在行われているわが國産の油絵具は慥に改良の余地があるが、 これも現在の國家重大事たる大東亜戦の下にありては、油絵の具の原料の不足より生じたる結果として、 ... 一日も早く欧州製品に依倚することから脱せねばならぬ。」

本文は、科学的に具体的に「顔料の製法」や「油絵具練用油」のことや「画布の手製」など書かれている。

額縁についても、ルネサンス式、ルイ14世スタイル、15世スタイル、など図版付きで分類されている。
昭和17年(1942年)に初版3000部、定価2圓で発行された。シミが出ているページもあり、紙のヤケや変色もあるので「可」としているが、読む分には問題なく、古い本の味わいとも言えるような状態。