天空の黄金 シリーズ1 : 本と釉裏金彩の帯留セット

小野珀子さん(故)とその技法を受け継いだ息子・小野次郎さん(故)。ここでは、次郎さんの貴重な作品と書籍「天空の黄金」をセットで販売いたします。 本を読んでいただければ作品がさらに特別なものになり、より気に入っていただけるはずです。



陶芸家・小野珀子(おのはくこ)さんのことを、身近にいた人々はこう言っています。

別格。ハイカラで好奇心旺盛、我慢強く負けず嫌いで、身勝手で、子供の頃から自然と周りから注目される人。才能・能力を持った人。

昭和40年代、金箔が釉薬の裏で煌めく「釉裏金彩(ゆうりきんさい) 」で陶芸界に躍り出た。当時の男社会にあって、名のある人に師事もしない女性が破竹の勢いで権威ある賞を次々に取っていく。大変な苦労をして完成させた技法のことを「できあがった物がすべてで、その途中の困難な作業について話しても仕方がない。作家がやれ大変だ何だと言っていたら、それは自分が下手くそだということを人に言っているのと同じ。涼しい顔ばしとかんば」 と言ってのける。

小野珀子さんのファミリーヒストリーともいえる書籍と彼女の最後の個展でも使われた「天空の黄金」というタイトルは、ある男性によって提案されました。 この話については書籍「天空の黄金 小野珀子と釉裏金彩」のページをぜひ読んでいただきたいです。

書籍「天空の黄金」

釉裏金彩 帯留

品よく煌めく帯留は釉裏金彩の黄色・青色・飴色の3色5種類の小野次郎作品です。

釉裏金彩は昭和30から40年にかけて数名の陶芸家たちがそれぞれ独自の創意工夫して編み出した難易度も評価も高い技法といわれています。

同じように金箔を使った金襴手(きんらんで)との違いは、金箔が表面に出ているか、釉薬の裏にあるかということ。釉裏金彩はガラス質の釉薬にまもられているため、長い年月経っても、ガラス質の釉薬にまもられた金箔が剥落したり傷がついたりすることがありません。
釉裏金彩は窯で焼く回数も多く、大作の場合に漆が乾かないうちに金箔を貼るには技術が必要です。大量生産はできず手間もかかるため取り組む人が少なく、希少な作品となります。

お手持ちの帯と着物に合わせて帯留をお楽しみください。また、チョーカーとして身に着けることもできます。

現品限りとなります。1点お選びください。

釉裏金彩 帯留 小野次郎作 1点と書籍「天空の黄金」セット
価格 : 16,000円 (税込)

*送料別途 こちらを参照ください。


●サイズ・重さ(約):
縦 約60mm × 横 約35mm x 高さ 約10mm・約20g
*仕入れてから長く保管していた作品で、箱は仕入れ当時のものです。
*手仕事で作られた一品もので、現品のみです。
気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
*帯留裏に10mm幅以下の帯締が通るような作りになっています。
*帯留は箱付きです。1つずつ箱書きされた箱に作者略歴と共に入ります。

●材質:磁土、半磁土、漆、プラチナ箔, 金箔、釉薬

1) 釉裏白金彩・帯留 青 (プラチナ箔)
2) 釉裏金彩・帯留 黄
3) 釉裏金彩・帯留 黄square
4) 釉裏金彩・帯留 飴色
5) 釉裏金彩・帯留 青spheres 3

先日、「天空の黄金」の著者・ゑみさんと十数年ぶりに電話で懐かしい声をきき、私がギャラリー担当をしていた時の小野次郎さんの個展にご夫婦揃って在廊くださっていたことを思い出しました。 ゑみさんは颯爽とした朗らかな方で、接客の合間にはいろいろとお話ししてくださり、物静かな次郎さんととてもお似合いだった。

個人的な話だけれど、私が結婚の報告をゑみさんにした時に、「まわりがなんと言おうと、あなたが幸せならいいのです。」と言って祝福してくださったことは忘れられない。
私は次郎さんの帯留を着物を着るときはたいてい付けています。着物を着る機会はあまり多くないのだが、貴重で美しい釉裏金彩が帯にあると気後れするような場でも落ち着くのです。

小野珀子さんについて言えば、かつて東京・南青山にあったグリーンギャラリーの第一回目の展覧会は珀子さんの個展だったそうだ。珀子さんの力量が高く評価されてのことだろう。人伝に聞いた話では「最初に女性に展覧会を開いてもらうと繁盛する」というジンクスもあったとか。 珀子さんの個展のおかげか、グリーンギャラリーといえば、現代陶芸を中心とした工芸好きで知らない者はいない「あのグリーンギャラリー」と言われる伝説的なギャラリーとなった。

小野珀子さんのような波乱万丈でドラマチックな人生の送られた方もなかなかいないのではないだろうか。「天空の黄金」の数々のエピソードからして、NHK朝ドラの主人公にぴったりだと勝手に私は思っている。(店主)

小野珀子 ONO Hakuko
大正4年、名古屋生まれ。昭和48年に中国・北京の日本大使館に飾るため釉裏金彩黄釉瓶が外務省買い上げとなる。日本陶芸展第一部優秀作品賞受賞、毎日新聞社賞受賞。昭和56年日本陶磁協会賞受賞。平成4年佐賀県重要無形文化財に指定。その他、受賞多数。海外展示多数。美術館収蔵多数。平成8年永眠。


小野次郎 ONO Jiro
昭和28年、東京生まれ。九州山口陶磁展、日本伝統工芸展、日本陶芸展などで数多く入賞。母・珀子の死後、金襴手、釉裏金彩の技法を継承。平成22年永眠。


小野ゑみ ONO Emi
長崎県生まれ。平成8年、20年仕えた姑・珀子の最後を看取る。平成11年、次郎、琥山製陶所より独立。平成14年 琥珀陶芸舎を開窯。次郎と共に営む。平成18年、「天空の黄金」を上梓。