天空の黄金 シリーズ3 : 本と紅地金襴手煎茶碗(5客) セット

小野珀子さん(故)の貴重な作品と書籍「天空の黄金」とセットで販売いたします。 本書を読んでいただければ作品がさらに特別なものになり、より気に入っていただけるはずです。




陶芸家・小野珀子(おのはくこ)さんのことを、身近にいた人々はこう言っています。

別格。ハイカラで好奇心旺盛、我慢強く負けず嫌いで、身勝手で、子供の頃から自然と周りから注目される人。才能・能力を持った人。

昭和40年代、金箔が釉薬の裏で煌めく「釉裏金彩(ゆうりきんさい) 」で陶芸界に躍り出た。当時の男社会にあって、名のある人に師事もしない女性が破竹の勢いで権威ある賞を次々に取っていく。大変な苦労をして完成させた技法のことを「できあがった物がすべてで、その途中の困難な作業について話しても仕方がない。作家がやれ大変だ何だと言っていたら、それは自分が下手くそだということを人に言っているのと同じ。涼しい顔ばしとかんば」 と言ってのける。

小野珀子さんのファミリーヒストリーともいえる書籍と彼女の最後の個展でも使われた「天空の黄金」というタイトルは、ある男性によって提案されました。 この話については書籍「天空の黄金 小野珀子と釉裏金彩」のページをぜひ読んでいただきたいです。

書籍「天空の黄金」

金襴手 煎茶碗

中国の明の時代(1364-1644年)から伝わる金襴手(きんらんで)という技法でつくられた煎茶碗(5客)。金襴手とは、陶磁器の上に上絵の具を塗って焼き付け、その上から糊の役割として漆で模様を描いてその部分に金箔を貼り、 その金箔を柔らかい筆でなでて、漆の部分だけに金箔を残して金箔模様をつける技法。金箔が表面にあるので長い年月使ううちに剥落したり傷がついたりするが、光が金箔に直接当たる輝きは贅沢で魅力的。
一客ずつ轆轤造りで、黄金の大輪の花は牡丹。装飾的な葉と合わせて「牡丹唐草」と呼ぶ。箱書きは息子・次郎さんによるもの。華やかで気品溢れる煎茶碗5客です。


紅地金襴手煎茶碗(5客) 小野珀子作と書籍「天空の黄金」セット
価格 : 100,000円 (税込)

*送料別途 こちらを参照ください。

●サイズ・重さ(約):
口径 約56mm × 高さ 約45mm (高台の高さ約11mm)・約20g

*仕入れてから長く保管していた作品で、箱は仕入れ当時のものです。
*手仕事で作られた一品もので、現品のみです。
気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
*中国古来の技法、本漆で金箔を使用していますので特に化学洗剤、みがき粉は使わないでください。

●材質:磁土、漆、金箔、釉薬


先日、「天空の黄金」の著者・ゑみさんと十数年ぶりに電話で懐かしい声をきき、私がギャラリー担当をしていた時の小野次郎さんの個展にご夫婦揃って在廊くださっていたことを思い出しました。 ゑみさんは颯爽とした朗らかな方で、接客の合間にはいろいろとお話ししてくださり、物静かな次郎さんととてもお似合いだった。

個人的な話だけれど、私が結婚の報告をゑみさんにした時に、「まわりがなんと言おうと、あなたが幸せならいいのです。」と言って祝福してくださったことは忘れられない。
私は次郎さんの帯留を着物を着るときはたいてい付けています。着物を着る機会はあまり多くないのだが、貴重で美しい釉裏金彩が帯にあると気後れするような場でも落ち着くのです。

小野珀子さんについて言えば、かつて東京・南青山にあったグリーンギャラリーの第一回目の展覧会は珀子さんの個展だったそうだ。珀子さんの力量が高く評価されてのことだろう。人伝に聞いた話では「最初に女性に展覧会を開いてもらうと繁盛する」というジンクスもあったとか。 珀子さんの個展のおかげか、グリーンギャラリーといえば、現代陶芸を中心とした工芸好きで知らない者はいない「あのグリーンギャラリー」と言われる伝説的なギャラリーとなった。

小野珀子さんのような波乱万丈でドラマチックな人生の送られた方もなかなかいないのではないだろうか。「天空の黄金」の数々のエピソードからして、NHK朝ドラの主人公にぴったりだと勝手に私は思っている。(店主)

小野珀子 ONO Hakuko
大正4年、名古屋生まれ。昭和48年に中国・北京の日本大使館に飾るため釉裏金彩黄釉瓶が外務省買い上げとなる。日本陶芸展第一部優秀作品賞受賞、毎日新聞社賞受賞。昭和56年日本陶磁協会賞受賞。平成4年佐賀県重要無形文化財に指定。その他、受賞多数。海外展示多数。美術館収蔵多数。平成8年永眠。


小野次郎 ONO Jiro
昭和28年、東京生まれ。九州山口陶磁展、日本伝統工芸展、日本陶芸展などで数多く入賞。母・珀子の死後、金襴手、釉裏金彩の技法を継承。平成22年永眠。


小野ゑみ ONO Emi
長崎県生まれ。平成8年、20年仕えた姑・珀子の最後を看取る。平成11年、次郎、琥山製陶所より独立。平成14年 琥珀陶芸舎を開窯。次郎と共に営む。平成18年、「天空の黄金」を上梓。