第3回
女の一生
2019/4/25UP

私が高校生のころ、柔道部に入り毎日高校の道場で稽古に励んでいた。午後授業が終わるや校内にある道場へ行き、3時間ほど稽古した。3年間続けた。夏休みは夏季稽古に合宿。冬は寒稽古。休みなく熱心に打ち込んだ。楽しかったのを覚えている。日曜日は稽古がないので家にいて所在なく音楽を聴いたりしていたが、ある時偶然に「女の一生」を読んだ。

女の一生 モーパッサン著
新潮文庫

読むなり好きになった。それがフランス文学との出会いだった。言ってみれば青春時代の女性にあこがれていたころの良くある話だったのだが、フランス文化に惹かれていくことになり人生の転機になった。

「Une vie」、原作のフランス語での題名は「ある一生」と訳するところだが、女の一生とはうまくつけたものだ。男の一生では様にならないだろう。 内容は一人の女性の人生の流れを書き綴ったもので恋愛、結婚、子供、離婚とまさに女の生き様が描かれている。フランスの女の一生だが日本の女性にも当てはまる。いつの世にもそれぞれ悩みがあるのだが、それを乗り越えていく逞しさが読み取れて面白い。

青山光雅 AOYAMA Mitsumasa

京都伏見出身。立教大学院修士課程フランス文学専攻(シャトー・ブリアン)修了。酉福ギャラリー創業
中学生の頃よりお茶(官休庵)・お花の稽古を始め、他に、書・料理・俳句・作陶に親しむ。『南青山ギャラリー物語』『祇園ものがたり』『睦美十選』『美のなごり』などを出版プロデュース。