キッズアートプログラム Art Programs for Kids
これからの時代をどう生きる? ウィルスとの共生、世界情勢の不安定と日常が刻々と変化しているなか、葦のように柔軟な生き方が求められています。
未来を担う子どものためのひとつの場として、このアートプログラムを提案します。地域を越えて交流したいのでオンライン。学校や塾の勉強がきらいな子、絵や工作が好きな子、内気な子、日本語が苦手な子、もちろん勉強が得意な子も、みんな集まれ!集まれ!
▶こちらのクラスはオンラインです。体験無料・お申し込み・ご質問はこちらからどうぞ。
プログラムの目的
1. よく見る・考える・発言する・聴く・また考える……を螺旋階段を登るように繰り返し習慣化。
2. 同じものを見ても人それぞれ捉え方が違うことを実感し、違うから排除するのではなく、なぜそう考えるのか・感じるのかを理解しようとし、また自分も理解してもらい、共生に繋げる。
プログラム内容
その1. オンラインにて同年代のグループでその日のテーマの美術品を数点じっくり鑑賞します
年齢が近いほうが、発言もしやすく、相互理解もしやすいと考えます。
ここでは、ピックアップした数点の美術品に集中して深く掘り下げます。
その2. 全体から細部までよく見て、考えます
感じたことや気づいたことを言葉に置き換えてもらいます。
また、美術品のどこから自分がそう考えたのかの根拠もさがします。
その3. みんなに伝わるように発言します
はじめは難しくても人前で話すことを繰り返します。
ここでは、専門家の解釈を暗記して話すことではなく、
自分の目で見たことを自分の言葉で話すことを大切にしています。
その4. 友だちの意見をよく聴きます
同じ物を見たのに自分とは違う視点や推理の展開に驚くこともあります。
その5. またよく見て、考えます
友だちの意見をふまえて見直してみます。また自分でよく考えて発言します。
芸術家の逸話や、時代背景などもマメ情報としてお話します。
下調べ無しに作品を見たいので、事前に何を鑑賞するかはお伝えしません。
その日に見た美術品の時代やタイトルなどはクラスの後で保護者の方にお伝えします。
もし、お子さんが興味をもったら、自分で調べさせてあげてください。
クラスについて
*2週間で内容変更(1.2週目と3.4週目は同内容)
*同内容で別クラスに空きがあれば振替可。
*Zoomを利用します。
*参加者が集まった時間帯でスタート。
*ご希望があれば、中学生・高校生・大人も応相談。
コース別プログラム
*まずはこれ!総合コース
世界の絵画、古代文明の美術、世界の原始美術や古代・近代彫刻、日本の絵画・版画、縄文土器・埴輪、日本の彫刻、日本の工芸、世界と日本の建築など、幅広い内容になります。
*より深く西洋美術コース
古代、中世、ルネサンス、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義、印象派、アーツ&クラフト、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、近代の西洋美術の流れの中から作品を取り上げて見ていきます。歴史と連動しているので歴史的背景も簡単に紹介します。
*さらに深く日本美術コース
日本の美術・文化は中国・西洋の影響を受けながら、独自の発展をしました。
神道・仏教美術、工芸、版画など、じつは世界から関心をもたれている日本美術を見ていきます。
*選択クラス美術館歩き
オンラインで会う仲間といっしょに東京近郊の美術館・博物館に行きます。とくに現代アートは、サイズが大きかったりインスタレーションも多いので実物を見に行きます。
西洋美術や日本美術を展示する美術館も見に行く予定です。美術館自体が建築としてみる価値があるので、合わせて鑑賞します。オンラインクラス参加者に随時お知らせします。
このプログラムをはじめた理由
私は学生時代、バックパッカーでした。アルバイトをしては、稼いだお金で海外を旅していたのですが、気づいたことがありました。それは、とくに欧米ですが、子どもが美術館に当然のようにいることです。床に座って写生していたり、車座になって先生と鑑賞していたり。
日本ではあまり見かけないその光景を初めて見たときは、少し驚きました。そして、小さな頃から美術品にふれられる豊かさをうらやましく思ったのが、このプログロラムを始めたいと思ったそもそものきっかけかもしれません。
それから時は流れ、ある時、アメリカのMOMAの教育機関から独立して子どもたちへ美術鑑賞教育を研究実践した取り組みについての本(『学力をのばす美術鑑賞』著:フィリップ ヤノウィン 著/翻訳:京都造形芸術大学アートコミュニケーション研究センター/発行:淡交社)を読みました。すると学生時代に美術館で見た光景が思い出され、子どもへのアート教育にムクムクと興味が湧いたのです。
グループ鑑賞を進行する人が適切な質問をしながら、子どもたちがアートを鑑賞して意見を言い合う。そこには、よく見る・そこから感じたことや考えを言語化してみんなの前で発言する・友だちの意見を聴く・また考える、
という社会に出ても必要なことが盛り込まれていました。
ぜひ我が子にも体験させたい。そのためには一緒に鑑賞する仲間が必要。そこで近所の友だちに声をかけて始めました。
始めてみると、子どもたちの斬新な意見や予想を超えたものの見方に私自身が予想以上に楽しかった。
もっとクラス内容を充実させたいと思い、ママたちの生の声を聞かせてもらい、ワークショップに行き、フォーラムに参加し、クラスの下準備のために美術だけでなく脳の発達の本や教育書なども読み漁りました。
また、子どもたちが自然に美術に興味がわくよう頭をひねりました。
美術のまわりで
私は、20代半ばまでプログラマーでした。あるとき10年後の自分を想像しました。うまく自分を想像できなかった。
そこで、初めて行ったパリで感じた「いつか私はパリに住む」という夢を実現すべく渡仏。
会社員時代の貯金を注ぎ込んで一年間滞在。その間、オークション会社・クリスティーズの教育機関で仏美術史と鑑定を学びました。なぜアートを学んだかというと話が長くなるのでまた別の機会に。
授業はフランス語だったので内容の半分も理解できていたかどうか怪しいものです。
それでも平日の午前中はスライドを見ながら講義、午後は美術館やアトリエ訪問、期末ごとのテストに卒論まであり、ついていくのがやっとで夜遅くまで辞書を片手に復習の毎日でした。
フランス語もおぼつかないのに、アートを学ぶという大それた試み。しかしその熱意が認められて、その年のメンバーの中で頑張った人に贈られる賞(Robert Cumming Prize)に選ばれ、ちょっぴり賞金もいただきました。嬉し恥ずかしの受賞だったのを記憶しています。
帰国してアートギャラリーに7年間勤務した後、オンラインの美術書店を細々と続けているのが現在です。
そんな流れで、美術のまわりで生きてきました。
考えを言葉に、排除ではなく対話を
子どもたちといっしょにアートプログラムを進めるうちに、「プログラムの目的」が明確になってきました。
グループでの美術鑑賞のいいところは、知識がなくても想像力を駆使して作品を鑑賞し、感想をみんなと語り合えることです。
もしかすると、美術品だけでなく友だちに対しても興味がわいたり、気づかなかった自分の一面を改めて発見することもあるかもしれません。
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青山真紀 AOYAMA Maki
東京生まれ。大学卒業後、プログラマーの職を経て、パリのクリスティーズ・エデュカシオン、ディプロムコース (Cours Diplôme de Christie's Education 2002-2003)
にてフランス美術史と鑑定を1年間学び帰国。ギャラリー勤務後、南青山文化研究所設立。真美術書店を営む。