VENINI veronese 2点と書籍「Venini: Murano 1921」Set
イタリア・ムラーノ島が生んだ最高峰のヴェネツィアン・グラスブランド「Venini(ヴェニーニ)」。その100年を超える歴史は、伝統的で驚異的な職人技と各時代を代表するアーティストをアートディレクターとして招くことで取り入れた「近現代のデザイン(建築・美術)」との融合です。
Veniniの初代ディレクターが画家でありデザイナーのVittorio Zecchin(ヴィットリオ・ゼッキン)。
Zecchinの代表作の一つがクラシックな美学を体現する「Veronese(ヴェロネーゼ)」。
1921年、ルネサンス期の巨匠パオロ・ヴェロネーゼの絵画『聖母被昇天』の中に描かれた繊細なガラス瓶に着想を得て、驚くほど繊細で薄壁のモノクロームの花瓶をデザインしました。
本書でもVeroneseの紹介ページの前に見開きでその『聖母被昇天』の図版が掲載されています。
真美術書店でご紹介するのは、90s Vintage、良好なコンディションを保つ2つのヴェロネーゼ(水色・グリーン)と、Veniniの芸術性を裏付ける、FMR(フランコ・マリア・リッチ)出版の限定4000部のうちの1冊の特別な3点セットです。
Vittorio Zecchin(ヴィットリオ・ゼッキン)、芸術の架け橋
「ヴェロネーゼ」をデザインしたヴィットリオ・ゼッキン(Vittorio Zecchin)は、ガラスの聖地として知られるムラーノ島に生まれ、名門アカデミア美術学校で古典主義的な芸術を学びました。
19世紀の伝統的な地盤にいた彼にとって、大きな転機となったのが1895年のヴェネチア・ビエンナーレでした。国内外のパビリオンを熱心に巡るなかで、ゼッキンは装飾的でどこか東洋的な美意識に強く感銘を受けます。同時に、当時はまだ「マイナー」と見なされていた工芸や応用美術が、新たな尊厳とともに再評価され始めている潮流に、深い関心を抱くようになりました。
独自のアイデンティティを模索するなかで、若きゼッキンが目指したのは、モダニズムやエキゾチックな要素、先進的なフォルム、そして豊かな色彩効果を、高品質な職人技と融合させること。世紀の変わり目を迎えていた当時のヴェネチアには、そうした前衛的なアイデアを受け止める土壌が存在していました。
彼は、古いアカデミズムに反発し、イタリア近代美術の革新を推し推し進めた「カ・ペサロ派」と呼ばれる若手芸術家グループに加わり、一時はその運動に身を投じたようです。
1921年、パオロ・ベニーニとジャコモ・カッペリンによって、現在の名門ブランドの基礎となる「Venini(ヴェニーニ)」の前身が創業されます。彼らのビジョンに深く共鳴したゼッキンは、初代アートディレクターに就任しました。
それまでのムラーノガラスは、デコラティブなバロック様式や古典的なデザインが主流でした。しかし、カ・ペサロ派の前衛スピリットを宿したゼッキンは、ガラス本来の澄んだ透明感と、極限まで削ぎ落とされたラインの美しさを洗練された解釈で表現します。そのモダンなアプローチは、国際的な時代のうねりとも見事に呼応するものでした。
ゼッキンの際立つ知性と感性は、ムラーノガラスを20世紀の新たな美の基準へと巧みに融合させました。そしてその引き算の美学は、ムラーノのガラス職人たちが持つ驚異的な技術があって初めて、完璧な形として結実したのです。
世紀を超えてなお、静かな存在感を放ち続ける名作の背景にあるストーリーとともに。
意匠を凝らした函入り限定4000部の一冊:
Franco Maria Ricci刊『Venini: Murano 1921』
本3点セットの核となるのは、イタリア・ミラノの伝説的エディター、フランコ・マリア・リッチが1989年に限定出版したモノグラフ『Venini: Murano 1921』(ジュリアーナ・ドゥプラーニ・トゥッチ編)です。 重厚な黒のヒンジ付き専用函を開くと現れるのは、布装丁のハードカバー。特有の水色の線条紙の上には、一枚一枚丁寧に貼り付けられたカラー図版の数々が、Veniniが辿った光と影の軌跡を克明に映し出しています。伊英語表記。 函に少し汚れなどありますが、本体良好。この書籍自体がアートピースであります。
VENINIを代表するアイコン『ヴェロネーゼ』
1992年制作のアーカイブ作品
『Venini: Murano 1921』で示されたVeniniの美学を、そのまま立体とし具現化されているともいえるヴェロネーゼ。
底面にエングレーヴィングで、製造年を示す「venini 92」が明瞭に刻まれています。当時貼られたブランドの丸型ステッカー、そして経年を物語るオリジナルの紙函もあわせて保存されています。
色は2色。透明感溢れるアクアマリン色と『Venini: Murano 1921』に掲載されているものと同じ、透明感がありながらやや深みのあるオリーブグリーン。
シンプルで気品あるこの2つの作品は、人が吹いて作ったガラスであることを証明するように微妙にサイズが違います。
状態としては外側に傷もなく、曇りや水垢もありません。
アクアマリン作品にはガラス内壁に1mmくらいの透明な点々があります。下のシール付きの写真をご覧ください。
またオリーブグリーン作品の内壁には、最大2mmくらいの雪の結晶のようなものが点々とあります。こちらも下に拡大写真を載せています。どちらもよく見なければ気づかない程度ですが、気になる方はお問い合わせください。
100年経っても古びない。20世紀デザインの生きたアーカイブをプライベートな空間へと迎え入れる体験を、歴史と美しいものを愛するコレクターの方へお届けしたいです。
Venini「Veronese」2点 + FMR豪華本 ¥360,000(税込)
【 Venini「Veronese」】
●デザイナー:Vittorio Zecchin
●モデル:Soffiati 1921-25(ソッフィアーティ 1921-25年製)
●技法:吹きガラス
●サイズ・重さ(約):
水色 直径 約195mm × 高さ 約320mm ・約760g
緑色 直径 約185mm × 高さ 約315mm ・約740g
*国内送料無料(海外実費)
*制作年:1992年 底面にサイン「venini92」
*手仕事で作られた一品もので、現品のみです。
気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
【 FMR豪華本 】
書籍: VENINI Murano 1921
編集: Giuliana Duplani Tucci
Editorial Director: Graziella Buccellati
写真: Brooks Walker
発行:Franco Maria Rucci
発行年:1989年 限定4000部のうちの No.2038(印字)
サイズ:(函)32.3 x 32.3 x 3.5cm
(書籍)30.7 x 30.5 x 2.5cm 頁: P.222
状態:AA 厳密に見ると所々に白い汚れがうっすらとあるが、経年を考慮するとかなりの美本。
初めてVeroneseを見た時の「クラッシックでエレガント。なんて美しいんだろう」と、うっとりした感覚。これは、その後何度見ても変わらない。
初見の衝撃はなくなっても、色褪せないのです。そして、この書籍もまた素晴らしい。図版やテキストの内容はもちろん函の装丁や紙の色や質感へのこだわりから製作者たちの熱が伝わってくる。
「本物」の3点セットでございます。(店主)
Vittorio Zecchin( Murano 1878 - Murano 1947)
ヴェネツィアの芸術アカデミー(Accademia di Belle Arti)で学ぶ。1914年のヴェネツィア・ビエンナーレでは、画家のオドロ・ヴォルフ・フェラーリと共にバロヴィエ社で制作された一連のガラス工芸品を展示した。
第一次世界大戦中、ムラーノの旧修道院にタペストリー制作の工房を設立。ファインガラス、タペストリー、刺繍はヴェネツィア・ビエンナーレほか、ミラノ、ローマ、マンツァ、パリ、トリノでも展示された。1921年から1925年にかけてVENINIの芸術監督を務めた。また、ムラーノのアバーテ・ザネッティ学校(ガラス)やヴェンドラミン・コーナー職業学校(タペストリー及び刺繍)で教鞭を執った。
